【分かりやすくまとめると・・・】
・浮力は物体が押しのけた水の量に比例して大きくなる。
・船のサイズに比例して浮力も大きくなるので,船はとてつもなく大きなものを作ることが可能。
・船は速度が遅いが一度に大量のものを運ぶことができるので,輸送手段の主役。
船を理解するのに必要不可欠なのが,浮力だ。
浮力というのは,水に浮かべた物体に対して,重力と逆の方向に働く力のことだ。
物体を垂直に持ち上げる力ということだね。
そう。そして,この浮力というのは,物体が押しのけた水の量に比例して大きくなる。
例えばここに半径1メートルの巨大な鉄球があるとしよう。
これを海に沈めたらどうなるかな。
当然そのまま海の底まで沈んでいくだろうね。
じゃあこの鉄球を厚さ1センチぐらいまで思いっきり薄く延ばして,大きな皿にしたとしよう。どうなるかな。
何となく沈まない気がする。
そうだね。それは第一に,薄く延ばした大きなお皿の方が,ただの鉄球よりも,たくさんの水を押しのけるからだね。
つまり,浮力が大きくなるということだね。
そうだ。この押しのける水の量を排水量といって,船の大きさを測る目安にされている。
さらに,薄く延ばした方が,重さが分散される。だから沈む力が小さくなるということだ。
浮力が物体の押しのける水の量に比例することを,アルキメデスの原理というんだよ。
↑ アルキメデス
押しのける水の量が多いほど,浮力が大きくなるということは,船が大きくなればなるほど,浮力が大きくなるということかい?
そのとおりだ。だから,船は理論的にはとてつもなく大きくできることになる。
これが車や飛行機との大きな違いさ。
そうか。車は大きくし過ぎたら道路を走れないし,飛行機は飛べなくなるだろうからね。
そのとおり。だから船は大量の物を輸送する手段としては最も優れている。
速度は遅いけど,その代わり大量の物を運べるということだね。
そう。ところで,歴史上最大の船は,原油タンカーのノック・ネヴィス号だ。
この船は全長458メートル,幅69メートルもあり,一度に56万トンもの油を運ぶことができる。
甲板上にサッカー場が4面とれるぐらいの大きさなんだよ。
凄いね。船があることで,たくさんの物をあらゆるところへ運ぶことが可能になるんだね。
そう。普段船なんてあまり乗らないかもしれないけど,船は人類にとって極めて貴重な輸送手段なんだ。
では,船が浮く仕組みが分かったところで,船の歴史を見てみよう。