モノシリンの3分でまとめるモノシリ話

モノシリンがあらゆる「仕組み」を3分でまとめていきます。

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Drive Helix 46D VS Aeolus RSL 37

最近話題のDrive Helix 46D(以下「ヘリックス」という。)を買った。

https://jp.elite-wheels.com/product/drive-helix-46d-disc-brake-road-climbing-carbon-wheelset/

 

私が今まで使っていたのはボントレガーAeolus RSL 37(以下「アイオロス」という。)である。

www.trekbikes.com

 

ヘリックスで峠TTをしてみたところ、とても面白い結果になったので記事を書くことにした。

 

まず両者のスペックから確認しよう。

ヘリックスの実測重量はフロント603グラム、リア781グラム、合わせて1384グラム。リムテープ込みでこの重量なので、それを除けばほぼカタログスペック(1335±30g)どおりである。

リムハイトはフロント:39-43mm リア:42-46mmで、ウネウネしている。この形状だと空力性能が良いらしい。

そして極太のカーボンスポーク。これも見るからに空力が良さそうである。

 

他方、アイオロス実測重量はフロント618グラム、リア756グラム、計1374グラム。

なお、スピードセンサーマグネットが6グラムあるのでそれを外すと1368グラムだが、つけっぱなしで走行していたので、比較対象としてはマグネット込みの重量が適切である。

また、こちらもリムテープ込みなので、外せばほぼカタログ重量(1325グラム)どおりであろう。

 

リムハイトは37mm。スポークは扁平な形をしており空力が考慮されているが、幅はヘリックスより遥かに細い。素材はステンレス。

 

このとおり、重量は前後合わせて10グラムしか違わないので誤差の範囲内である。

そして、形状は、ヘリックスの方がリムハイトが高く、かつ、空力が良いとされるウネウネ型であり、その上、極太カーボンスポーク。

空力はヘリックスの方が上のように見える。

ならば、実走したらヘリックスが勝ちそうだ。

なお、両方ともタイヤはGP5000、チューブはエクサーtpuを使用している。

 

峠TTをする前の時点での私の感想を述べておこう。

アイオロスよりもヘリックスの方が明らかに速いと感じた。平坦も登りも。

なお硬さについては特に違いは感じなかった。

 

では、実際のタイムはどうだろうか。

 

まずは私が一番良く登っている白石峠。

距離6.38km、平均斜度8.4%。埼玉で一番有名なヒルクライムスポットであり、斜度はきつめである。

ベストタイムは今年の5月26日に記録した24分ジャスト。その際のパワーは270W、体重は53.9kgであった。

 

実走した7月27日朝の体重は54.3kg。経験上、この体重なら多少調子が悪くても25分は切れるはずである。

最高気温は34℃。私が走ったときは多分30℃に届くかどうかだったと思う。暑くてたれるのでパワーは落ちる。しかし、気温が高いほど空気の密度が薄くなり、空気抵抗が下がるので、その点では有利である。

 

結果はこのとおり。

遅い。ベストから95秒遅れ。ベストタイム時と比較してパワーは12w低いが、それでもこのタイム差は大きすぎる。

 

白石峠はこの日を含めて36回登っているが、上記タイムはその中で15位である。しょぼい。

1つ上の14位のタイム(2023年8月5日)を見ると、250Wで25分30秒である。最高気温も実走当日とあまり変わらない36℃。

だが、体重が全然違う。2023年8月5日の私の体重は56kgもあった。実走当日より1.7kgも重い。私の経験上、白石峠は体重が1kg違うとだいたい30秒ぐらい差が出る。

 

まとめよう。パワーが8W少なく、体重が1.7kgも重かった日の記録に5秒負けているのである。圧倒的敗北。

 

では、斜度の緩い坂ではどうか。

 

白石峠の反対側には定峰峠がある。白石峠を全力TTした後に、定峰峠を全力TTするのが私の定番コースである。

白石峠を全力TTしてくたびれた後に登ることになるため、記録はしょぼい。

 

ストラバのセグメント「定峰峠(白石車庫トイレ~小屋)」で実走した。

距離4.78km 斜度5.2%

このように緩い坂なので空気抵抗の影響は白石峠より大きいであろう。

 

結果はこれ。

これが遅いのか早いのか。

 

このセグメントのベストタイムは2024年5月4日の14分23秒。パワーは244Wであり、実走当日と同じ。体重は54.4kgだったのでこれもほぼ同じである。

 

同じパワー、ほぼ同じ体重でありながら、ベストタイムより31秒も遅い。

 

登りきるのに15分にも満たないセグメントで31秒も差がついた。

峠TTが趣味の人なら、これがどれくらいの圧倒的な差であるかよく分かるだろう。

さらに、ベストを出した5月4日の最高気温は26℃。実走当日より8℃低い。同じ気温ならもっと差がついたであろう。

 

アイオロスの圧勝。比べるのも失礼なくらいの圧勝。

 

私は即日ホイールをアイオロスに戻した。「浮気してごめんなさい」と謝罪しながら。

アイオロスへの愛をロスする結果にはならなかった。むしろ愛は深まった。

 

ヘリックスとアイオロス。重量はほぼ同じ。そして、リムハイト、リム形状、極太カーボンスポークからすれば、ヘリックスの方が空力で勝り、タイムも上回るかと思われた。

 

が、結果は全然違った。

ここで私の最初の感想を思い出していただきたい。

「アイオロスよりもヘリックスの方が明らかに速いと感じた。平坦も登りも。」

 

これは完全に私の「思い込み」であった。高い金を払って買ったのだから、速くあってほしいという思い込みでそう感じただけであった。

 

がっかりした思いはあるが、「面白い体験をした」という気持ちの方が勝っている。

結局、タイムを測定しないと、本当の「速さ」は分からないのだ。自分の「感覚」は全然あてにならない。

そして、ホイールを変えるだけでこれだけの違いが出る。白石峠で言えば、少なくとも体重1.7kg以上に相当する差が生じている。

 

何がこれだけの違いをもたらしたのか不明であるが、ひとつ言えるのは、ハブの違いである。何度か手で回して比べてみたが、ヘリックスの方が回転が止まるのが早い。しかし、それだけでこれほどのタイム差が生じのかと考えると、無理がある気がする。

ホイール剛性については、違いを感じることはなかった。しかし、これは私が鈍いだけであって、全然違うのかもしれない。

 

なお下りは私でも違いを感じた。ヘリックスの方が遅い。なんか「引っかかってる」感じがした。ラチェットの超爆音がそう感じさせたのかもしれない。

 

ハイエンドのホイールで峠TT実測会をやってみたら面白そうである。ぜひ誰かやってほしい。カタログでは分からないホイールの「真の実力」が明らかになるだろう。