【分かりやすくまとめると・・・】
・石炭は死んだ植物が積み重なり,地下の熱と圧力で変化したもの。植物の化石。
・炭素の塊という点では,木炭と石炭は同じ。
・石炭は今でも世界の一次エネルギーの3割を占めている。
植物が光合成をして炭水化物を作り出している,という話は前にしたね。
うん。炭水化物というのは,炭素と酸素と水素からできている物質だったね。
そうだ。そして,石炭というのは,もともとは植物だったんだ。
何億年も前に,死んだ植物が湿地帯の底に積み重なる。
それらの植物は,水の影響で空気から遮断される。
だから,それらの植物は微生物によって完全に分解される前に,積み重なっていくことになる。
微生物も酸素が無いところでは活動できないもんね。
そうだね。そのようにして,死んだ植物が地下数百メートルから数千キロメートルに積み重なっていった。
そして,地下の圧力と,地球が発する熱によって,死んだ植物が変化していく。
具体的に言うと,酸素と水素がどんどん減っていき,炭素の割合が増えていく。
さらに,炭素の割合が増えるにしたがって,どんどん黒くなっていき,やがて石炭になる。
石炭は植物の化石なんだね。
そのとおり。だから,化石燃料と言われるんだ。
結局,植物に外から圧力や熱が加わることによって,化学変化が起きた結果が,石炭ということだね。
木炭も炭素の塊だから,石炭とは同じようなものかな。
そうだね。炭素の塊という点では同じだ。
実はね,石炭が広く使用されるようになったのは,木炭を使いすぎたことも原因の一つなんだ。
石炭は紀元前からその存在を知られていたけど,大量に使われるようになったのは産業革命からだ。
それまでは燃料として何を使っていたの。
木炭さ。ただ,木炭を使いすぎると,森が無くなってしまう。
森の回復には時間がかかるから,これは重大な問題だった。
そこで,量が豊富で森林消滅の心配も無い石炭が使用されるようになったんだ。
石炭の埋蔵量ってどれくらいあるの?
今の使用ペースで行くと,少なくともあと100年以上使用できる量はあるよ。
ただ,これはあくまで今のところ判明している埋蔵量だから,これから増えるかもしれないけどね。
石炭て,一昔前のものというイメージがあるんだけど,今でもそんなに使われているの?
たくさん使われているよ。世界の一次エネルギーの約3割を占めるほどだ。
ちなみに,一次エネルギーというのは,自然から採取したままの形で使用するエネルギーのことだ。
一次エネルギーとしては,他に石油や原子力がある。
石炭は,現在,火力発電や,鉄鋼業によく使われているよ。
昔は,工場の機械や,機関車,船を動かすための燃料としてたくさん使われていた。
この石炭が生み出すエネルギーが,産業革命を支え,今でも重要な位置を占めている。
でも,石炭で固形だから重いし,かさばるから不便なところがあるよね。
そのとおりだ。そこで,液体化石燃料である石油が使用されるようになった。
液体の方が場所とらないし,軽いもんね。
そのとおりだ。では次に石油について説明しよう。