【分かりやすくまとめると・・・】
・細胞には,細胞の分裂と成長を止めるブレーキの役割を果たす遺伝子がある。この遺伝子があるので,細胞には寿命がある。
・がん細胞は,ブレーキの役割を果たす遺伝子が壊れてしまった細胞。無制限に増殖し,死なない。
・体には,できてしまったがん細胞を殺す仕組みが備わっている。
人は約60兆個もの細胞で出来ているといわれている。
これらの細胞は,1つの受精卵が,分裂を繰り返した結果出来たものだ。
細胞は,分裂と成長をした後,死んでいく。無制限に増えていくわけでは無い。
死んだ細胞は,新しい細胞と入れ替わっていく。こうして細胞のバランスが取れている。
細胞の一生は,全て遺伝子によってコントロールされている。
まず,分裂と成長を促す遺伝子がある。これは車で言うとアクセルのような役割を果たす。
他方で,分裂と成長をある時点で止めるよう命令する遺伝子もある。これはブレーキのようなものだ。
アクセルとブレーキがうまく機能して,細胞が入れ替わり続けているんだね。
そうだ。一説には,人間の細胞は6ヶ月で入れ替わると言われている。
ブレーキが無くなったらどうなるのかな。
細胞が無制限に増え続けることになる。それが癌だ。
がん細胞には増殖を止める遺伝子が無い。だから増殖を止めないし,自然に死ぬことも無い。
がん細胞が増え続けてしまえば,様々な臓器の動きを邪魔することになり,最終的には臓器の動きを止めてしまう。
原因は,遺伝子が変異してしまうことなのかな。
そのとおりだ。変異のパターンは大きく分けて2つある。
1つは,遺伝子に傷がつき,それが新しい細胞に伝わってしまうことだ。
遺伝子に傷がつく原因は,ウイルス,放射線,タバコなどだ。
もう1つは,遺伝子をコピーする過程でコピーミスが起きることだ。
毎日たくさん遺伝子をコピーしているから,たまにはミスが起きるだろうね。
そうだね。このように,遺伝子が変異して生まれたブレーキの無い細胞が癌細胞だ。
このがん細胞が発生するのを抑える仕組みもある。
遺伝子の傷を修復する酵素があるんだ。
体の中の修理屋さんだね。
そうだ。だが,その修理屋でも見落としてしまった遺伝子ががん細胞を生み出すことになる。
生まれてしまったがん細胞を殺す仕組みも,体に備わっている。
体には白血球という,ウイルスや細菌を殺すタンパク質がある。
そしてその白血球の一種であるリンパ球が,がん細胞を殺しているんだ。
※左から赤血球,血小板,白血球(リンパ球)
そうか。がん細胞の発生を抑える仕組みがある上に,発生したがん細胞を殺す仕組みもあるんだね。
そういう仕組みがあるにもかかわらず,がん細胞が増えてしまうということだね。
そしていったん増えてしまうと,最終的には手術等で癌を取り除くことになるんだね。
遺伝子で情報を伝えて細胞を分裂させていく,という方法は,進化を生み出す一方で,癌も生み出した,ということだね。
そうだね。癌も進化も遺伝子が変化して起きる,という点では同じだからね。
そうだね。今,がん細胞を殺す仕組みの話が出たけど,それは免疫と関係する話だから,次は免疫の話をしよう。
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